「化粧療法」という言葉をご存知でしょうか?
日本化粧療法協会によると、化粧療法とは「ハンドケア、フェイシャルケア、メイクアップなどのスキンシップを通してリラックスしながら若さや美しさを取り戻し、自信や満足感、自己肯定感などを手にすることを目的とした生理的・心理的ケア」なのだそうです。
また、化粧心理学という心理学の一分野では、化粧はどのような心理作用をもたらすかが研究されており、化粧をした顔が外向けの顔、化粧していない素顔が内向けの顔としてオンとオフを切り替える調節機能、また自分を見つめ自己愛を高める「いやし」や「はげみ」になる効果が、化粧にはあると言われています。このような化粧がもたらすプラス効果を引き出そうとするものが化粧療法だと言えるでしょう。
怪我や病気または先天的な痣や傷がコンプレックスになっている人に勇気や活力を与えるケースもありますし、東日本大震災では日常生活のリズムを取り戻す中で化粧療法のボランティアが活躍したというエピソードも耳にします。
最近では、高齢者向けの化粧療法も注目されています。医学的にも効果が認められており、認知症のリハビリテーションの原則に基づいた化粧療法のプログラムを提供している化粧品メーカもあります。
高齢者にとっては、「化粧」にどのような効果があるのでしょうか?
化粧品メーカの資生堂と徳島県の鳴門山上病院が6歳から93歳までの介護が必要な女性40名実施した調査では、化粧療法を行った前後を比較すると以下のような効果があったそうです。
表情が明るくなった 90%
身だしなみに気を遣うようになった 35%
リハビリや洗顔、トイレなどを積極的に行うようになった 35%
おむつが取れた 28%
明らかに気持ちが安定してきた 25%
本来は、医療施設では顔色が判別できなくなるためにお化粧は禁止されているのですが、このように化粧療法の効果を評価し、施設内でお化粧の時間を設けるケースも増えてきているそうです。
歳をとることで容貌が変化することを恐れる女性は少なくありません。しかし、その人が積み重ねてきた素晴らしい年月を反映するシミやシワは、決して醜いものではないと思います。
近年映画化もされた村上春樹氏著の「ノルウェイの森」では、主人公の男子大学生が40歳の年上女性のシワを「魅力的」と褒める場面があります。この女性は、主人公に対して女性にシワを褒めるものではないと言いますが、この女性の来し方を肯定するステキな場面で、私は大好きです。
私も、ステキなシワを作りながら歳をとり、何歳になっても真っ赤な口紅をつけるような女性になってゆきたいなと思っています。
参考サイト
化粧品メーカーの取り組み
資生堂 化粧療法プログラム
http://www.shiseido.co.jp/kesho_ryoho/index.html
(F.M.)
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