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医療, 特集記事

バイオバンクとオーダーメイド治療

2012年5月25日(金)の日本経済新聞(朝刊)に、「患者DNA50万人分析」という記事が一面に掲載されていました。
 

厚生労働省が患者の血液サンプルなどを集め「バイオバンク」として整備。6つの国立医療機関が収集とDNAの分析にあたり、疾病と遺伝子の関係などの研究に使うほか、製薬会社や他の研究機関の利用も認め、新薬や治療法の開発を促すという。

このバイオバンク計画は、文部科学省が主導してきた「ヒトゲノム多様性解析プロジェクト」「テーラーメイド医療基盤整備プログラム」を前身とする現在の「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」を、厚生労働省が間接的に支援するインフラ整備で、スウェーデンやノルウェイ、イギリスなどでも同様の取り組みがなされています。

では、「オーダーメイド医療」とは、どんなものなのでしょうか?

従来の治療は、疾患に軸を置いた治療であったと言えます。疾患の原因を探り、その治療法を開発することを目指してきました。こうして開発された薬剤が患者に投与されますが、実際にはそれぞれの患者の体質や経過などによって、効果に大きな差が出てしまったり重度の副作用を発症するケースがあります。

これに対し、疾患ではなく患者を軸に置いた治療を行なおうという流れが「オーダーメイド医療」です。これは、「テーラーメイド医療」「個別化医療」「カスタムメード医療」「パーソナライズド医療」などとも称され、個々人の個性にかなった医療を行うことと解釈されています。具体的には、患者ひとりひとりの遺伝子を診断し、体質と病状にあった治療薬を適量に服用し、副作用を避けることを目指す治療などがあります。

治療における心身の負担を軽減するだけではなく、薬の過剰投与を抑えることができるとも言われており、医療費削減にも繋がるそうです。

さらに、究極のオーダーメイド治療とも言えるものがOne to Oneの治療薬を作り出すことと言えます。例えば手術で摘出した患者本人のがん細胞を使ったワクチンで、がん細胞と戦う細胞の働きを強化するという治療法があります。この治療法であれば、抗がん剤や放射能治療などで生じるような目立った副作用はなく、難治がんであってもQOL(Quality of Life:生活の質)を落とすことなく、がんの制御が可能であると言われています。

また、加齢黄斑変性という眼病治療にiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使うための申請が9月にも厚生労働省になされる予定ですが、これもオーダーメードの再生医療への第一歩に繋がることでしょう。

オーダーメイド治療は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や胃がんなどでは、既に数々の研究成果が発表されています。しかし、こうした先端医療が国内富裕層向けや海外からの医療ツーリズムのための治療法としてではなく、将来的に一般の患者が健康保険の適用内で受けるけることができるようになることが期待されます。

(F.M.)

 

 

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